ヨーロッパ〜日本往復日記

2001年から2003年まで二年の世界放浪の旅へ、それからどんどん価値観が変化していく様子をブログに書いています。

心に深く刻まれる思い出の旅、モロッコへの旅5 現実に向き合う編

このシフシャウエンの家族との触れ合いは、田舎暮らしの夢と現実、

そんな感じでしたよ。

今回はちょっとネガティブな面と汚物の話にもなります。悪しからず。でもそれが現実。



この家族との生活は10日間でした。本当はもっと一緒に居たかったんだけどね、それが限界でした。まあそれは後に書きますね。



お母さんは週に1回山を下って買い物に行きます。かなり自給自足をしている家だと思ったのですが、

 

お父さんが土建屋さんで働いているので現金があり、

山の生活でもいろんなものを現金で買います。

洗剤やパンを作る小麦、豆類、油、野菜、お茶、それから鶏肉。

意外だったのは、トイレットペーパーを使う事。(インドやタイでは使いません)家族五人分、そんなに買っていなかったので、使うときと使わない時があると思います。

生理用品は買いません、スカーフのような吸収力がある布を使います。
(これがかなり快適で衝撃的だった。ちょっと羊毛の入ったような布なんですけど、長時間使ってもさらっとしている)

家でも鶏は10匹ぐらい飼われていますが、食べる為ではなく卵を取る為。

野菜も、ハーブも自家栽培で育てていますが、家族五人分足りないようです。
私が居た時は冬だったので、野菜の収穫はありませんでした。

そして、自分たちで作っているオリーブオイルはパンと一緒に生で食べる用で、
料理には普通のサラダ油のようなものを使います。


パン作りには普通の小麦粉を30キロの大袋で買います。
私は全粉とか半分精白の方を指してこれが良いみたいなそぶりをするのですが、
自家製パンには白い小麦は絶対って感じで、ガンと譲りません。

お母さんが30キロもの袋を背負って山を登ります。



そして鶏肉も大量に買いました。鶏は生きている鶏が20畳くらいの部屋に足の踏み場が無いほど大量にいて、そこでシメて売っています。その部屋の中では自由に動いたり飛んだりしているので、オリの中よりはマシですね。

日本では朝ジメ鳥と言われますが、ここでは昼ジメその日の晩御飯用めっちゃ新鮮です。

 

 

私は居候の身で、食事のお手伝いはするけど、食べさせてもらっている身なので、やっぱりここは。と全てを買ってあげました。めっちゃ喜ばれました。




お母さんがお菓子を子供に買ってあげたいという感じで、4歳の子供の名前を呼びながらクッキーを指で指しています。私はう〜〜〜んあの虫歯だらけの子にこのクッキーの味を覚えさすのはなあ。。。。。普段では買わない喜ぶもの。何か体に良さそうで子供が好きなものを考えました。(今思うと、このお母さんはクッキーは作らないのかな?)



栄養が足りない感じなので、ヨーグルト、牛乳、蜂蜜(ここでは超高級品です)それからイチゴを沢山買ってあげました。


子供達と一緒に大量にイチゴを潰して蜂蜜と牛乳で混ぜて、いちごみるくを作ってあげました。


これが異常に家族全員に喜ばれた。こんな風に果物を食べるのは初めてだったらしいのです。





この味に感動したのか、次の年に一週間だけシフシャウエンに行った時、(それもビザランなんですが) 

なんと自分たちで中古のジュースミキサーを見つけて、いろんな果物と牛乳と砂糖を混ぜておやつを作っていましたよ。





以前のブログにも書きましたが、この家の食生活は非常ににシンプル。

朝と昼はパンとオリーブとオリーブオイル、昼たまに卵も食べますが、二人一つづつです。

たったそれだけ。

夕ご飯はタジン鍋タジン鍋とは野菜と鶏肉の煮物の事ね。

鶏肉が入るのは金曜日だけです。

普段は野菜のタジン鍋または、
豆のスープ。

 

それらの晩御飯も毎日作るわけじゃなくて、残り物が続く時もある。う〜〜ん栄養が足りてない感じするよね。。。




ある日、私が何か作ってあげると、リクエストを聞いたところ。


スパゲティーがいいと子供達が。


家族じゃない誰かが作ったスバゲティーを食べた事が一度あるらしい。

 

日本食は醤油や味噌がないので無理だとその時は思った。)



ほとんど、超片言のフランス語で、長女と話していると、実はここの街にもフィッシュマーケットがあり、新鮮な魚介類が買える。


じゃあ、昔教えてもらったイタリア人直伝の魚介のパスタを作ろうと!!!

普段食べない足りない栄養分も取れそうだし。


お母さんに頼んで一緒にフィッシュマーケットに行きました。


新鮮なイカやエビなど、自分ではさばけないので、う〜〜〜んと思っていると、

お母さんが、目を輝かせている。実は高いのであまり魚介類を買えない感じなのかな?でもかなり好きらしい。

ここぞとばかりに、私にこれはどうか?これはどうか?と指をさして


どんどん、私がウンと頷いて、お金を払い買っていく。



私も魚類が久しぶりに食べれるので、ワクワクともう支持されるまま買いまくり。貝類も魚も沢山買いました。


お母さんは、私用にイカをさばいて、エビも剥いてくれてね。
でも、イカはそんなに食べ慣れていないようで、捌くときにえ〜〜っとなっている感じ。でも、出来る。イカの目とかくちばしとか、捌くのって絶対に無理。。。



それから小魚を丸ごと揚げ、まるで日本でよく食べられているような

小魚のフライを作ってくれました。

 

これがめっちゃ美味しかった。


そっか〜〜醤油や味噌が無くても揚げ物か〜〜こういう手もあったな〜〜。






スパゲティーとのリクエストで


イタリア人に教えてもらった魚介のパスタを作ってみてね

 

新鮮素材で自分的にはめっちゃ美味しかったんだけど、やっぱり大人の味なのかな。

お母さんとお父さんは美味しそうに食べてくれたが、子供たちの反応はイマイチ。



お母さんの魚の揚げ物を大量に子供達は食べていました。


ちょっととほほ。


鳥の唐揚げにしとけば良かったな。



このご家庭の食事じゃあ栄養足りないんじゃないかなって思っていはいたのですが、

こんな質素な中でも必要最低限のものは取れているようです。






まず毎朝、お母さんが4歳の子用に羊の乳を絞り、飲ませています。

羊の乳って、母乳に近いって聞いた事がある。人間に必要な栄養素がかなり含まれているそうです。


ブラックオリーブは私たちが思う以上に様々な栄養があるらしい。

それからやっぱり豆類もかなり重要なポイント。

 




羊の乳は小さい子用、私たちはオリーブとパンとお茶の朝ごはんを食べ、お父さんは出勤、子供達は日替わりで学校へ行きます。

子供達は、長女を筆頭に掃除、皿洗い、ルーティーンで山羊の面倒。


お母さんのすることは多種多様です。ある日はパンを作り、ある日は山に薪を取りに行き、ある日は買い物、ある日は六人分の服を全て手洗いです。オリーブを漬けたりもするらしい。それから街の親戚のうちに行き電気代の支払いに山を降りたりもします。




この家は電気が通っているのですが、支払い方法が変わっていて、街に住んでいるお母さんの妹がまとめて銀行引き落としか、払いに行くらしいです。


お母さんのする事の多い事多い事。


なのでお父さんが威張っているってことはありませんでした。



イスラムの世界って男が権力持っているって感じしませんか?社会的だったり世間ではそう。でも私が見た家庭内では

この山の家庭も、タンジェアの街の家庭もお母さんがとても強かったですよ。母親の役割が大切ってみんな思ってる、もちろん。

 

 

ヨーロッパ式の男女平等って、お互いがマルチに満遍なく全てこなすので、相手の役割の大切さが分からなくなって、男女の愛が無くなったら別れてしまうって感じかもなーって、ドイツやフランスに住んで思います。男女の愛だけじゃなくて、人生を歩んでゆくパートナー、または家族としての愛が大切だね。















そんなこんなで、楽しい日々を過ごしていたのですが、もちろん楽しい日々ばかりではありません。










な、なんと、この家にはトイレが無い!

 

トイレが無いってどういう事〜〜。

 

どこでするんですか????というと、家の玄関の数メートル前に

ゴミ置場があるんですが、そこでしゃがんで大も小もする。

 

玄関の外の周囲には、180度ぐるっと囲んで井戸があり、パンを焼くカマドがあり、食器や衣服を洗う洗い場、そしてゴミ置場、そしてベルベンヌというお茶のハーブの畑がある。

そんな家族がひっきりなしに通るオープンスペース。


ゴミの中で。。。する。私はというともちろん、出来ない。どこから人が見ているのかわからないところで、めっちゃオープンスペースな場所で、大も小も出来ないよ。。。。。

目の前のゴミが壁のようになっているんだけど、お尻は丸見え。


ひえ〜〜〜。

 

 




それで、私一人だけ林の中へ行ってすることに。

 

一番小さい4歳の男の子が、ちょっと周囲の家から離れ、隠れられる林を案内してくれた。

林の中で人生初めての野●●体験です。



それで私が大をするのを数メートル先で待っている!あっちへ行って〜〜って手で合図するも、そんなの分かるわけでもなく。

なんて言ったって自分たちはあんなオープンスペースでしているんだから。



まだ4歳だからと自分に言い聞かせても中々出来ない、精神的な作用って強いものです。じ〜っと2、30分ぐらいだったか。。。う●チングスタイルで、時を待ってようやく終わらせました。


この家が特別なわけではなく、この山一帯の家、トイレがないんです。。。。



そのゴミ置場は月に一度、ゴミの山になった頃に野焼きをします。

もちろんプラスチックの袋も、容器も全て燃やします。


昔はね、プラスチックの容器なんて無かったからいいけどね、燃やすとき、かなりいや〜〜な匂いがします。
こういう昔ながらの生活を現代の社会で続けていくってこういう事なんだなって思いました。


下水道もないわけだからね、全ての洗剤類も土に流れていく。

この家は大体のものを洗濯物洗剤で洗います。食器もね。それで石鹸とシャンプーもあったな。


この家から20メートル下にはオリーブの樹が沢山植えてあるんだけど、そこに流れていく、完全オーガニックだと思ったけど、

悲しいいかな。下水道が無いってこういう事なんだって思いました。



トイレをゴミ置きばじゃなくて、オリーブの畑の方に作る方が良いんじゃないかなあと思ったんだけどね、コンポストのように発酵させたりしないと”小”の方は植物の害になるんだよね。


確かオリーブの樹ってそんなに土壌が豊かじゃないところでも力強く

実を付けるんだったと思う。なので、昔の日本のように、大と小を肥料にすることは無かったんだろうね。

それに家畜もいるから、その排泄物だけでも十分肥料になるよね。




そんな感じで一週間以上が過ぎたある日、


近所の人が赤ちゃんを連れて私のもとにやって来た。



実はその赤ちゃん、ものすごい皮膚病にかかっていて身体中がかさぶただらけ。皮膚がドロドロしている部分もあって。


顔がものすごい事になっている。女の子の赤ちゃんがこのままでは将来大変なことになっちゃう。


山の民には保険は無いのです。いくら物価の安いモロッコでも保険のきかない医療って

相当なもの。だからこの山の人々は虫歯になると、ただ歯を抜かれてしまうんだ。

昔と違って今は砂糖をいっぱい入れるモロッコのミントティーを1日に何回も飲む。
歯を磨く習慣もなかったりする。

そんなんで若くても歯があまり無い人もいるんだよ。。。。




それでね、一度でいいので隣町の医者に見せて薬をもらいたい。

それで、私は日本人なのでやはりお金を持っているというので近所の人がこのお母さんに頼んで私に頼んできたのでした。

私がお母さんと2回買い物に行って全部買ってあげた事を近所の人に相当自慢していたらしく。

そういう事になったのです。。

でも、私がタイミングよく居て良かったって思う。その赤ちゃん、あれじゃあかなりの跡が残ったと思うけど。。。



私はどれくらいあげたらいいのかわからないけど、取り敢えずモロッコのお金で1万円分をあげました。これで2、3回ぐらい医者に行って薬をもらえたらいいなあと思ってね。


ネットで見ると、モロッコの医療は先進国よりちょっと安いぐらい。

それで、保険がない場合がほとんどで実費で、医者に行く場合は大家族で負担する。
事故や手術などになるど、貯金のある家族の誰かが支払うらしい。。。。それはかなり遠い親戚でも、そいうときに負担をしないといけないみたいな事が書いてあって。

あるモロッコ人と結婚した日本人女性は、しょっちゅうその役割を仰せつかってしまうだと。。。。










前回も書いたけど、家畜たちと隣り合わせの生活、やはり虫がいるんだよね。

それに下水道施設が無いってやはり、それなりに様々な菌の脅威があると思う。




私も一週間ぐらい経った頃から身体中が痒いことに気付いて。。。南京虫なのか、身体中喰われている。。。。


10日でもうこれ以上ここに泊まることは出来ない、ギリギリまで我慢したけどね。。。




それから、街の例のゲストハウスに戻ったのでした。


たったの10日間でしたが、山から街に荷物を降りていく時、本当〜〜〜に悲しかったです。









それで数日が経ったモロッコでの滞在が1ヶ月経ったある日、ようやく重い腰を上げてパリに帰る決心をつけたのでした。