ヨーロッパ〜日本往復日記

2001年から2003年まで二年の世界放浪の旅へ、それからどんどん価値観が変化していく様子をブログに書いています。

アラブの春、現地から情報

今回は私の友人で 以前エジプトに住んでいた人が書いた文を紹介したいと思います。

出来たら、感想 を書いていただきたい、本人も楽しみにしています。


:::::::::::::::::::::::::::::::::::


昨夜、現地の友人と5日ぶりにスカイプで電話がつながった



facebookでの呼びかけから勇敢に平和にデモ活動を続けてきた彼の

絶望と悲しみで枯れ果てた泣声に、言葉が出なかった



「もうこの国に住みたくない 平和もないし 自由もない」



エジプトのほとんどの国民は、

旅行を含め国外へ渡航する自由すらムバラクに取り上げられてきた



終わらない戦いの合間に吐いた小さな弱音すら

ムバラクに抑圧されている事実



昨日、カイロで何があったのか

独裁者ムバラクが、最後のカードとしてどんな汚い手を使ったのか

知ってほしい



仕掛けられた衝突

ムバラク派vsムバラク支持派



数日間に及ぶ混乱で、食べることに問題がでてきたエジプトの最貧困層

ムバラクが買収した



タハリール広場に集まっている反ムバラク派は

金を受け取ってデモを行っている。

お前達が食べられないのはあいつらのせいだ」



と言って

普通、何でこんな幼稚な理由がまかり通るのか疑問に思うと思う



でも私は自分の目に誓う

この言葉を鵜呑みに出来る稚拙な最貧困層こそ、

ムバラクが長年の間救済の努力すらしてこなかった人々

ムバラク抑圧政権の産物だ



彼らが、ムバラクがいないと困る と叫んでいる姿が

何という皮肉なんだろう



彼らには生活に十分な環境もないし、教育もされていない

「教育されていない」ということがこんな恐怖に感じられるなんて

カイロで生活するまで感じたことがなかった



勿論、中には心のいい人もいるが、それでも私はその目の奥が恐かった

獣 みたいだと思った

人間として、最低ラインの暗黙のルールの様なものを感じられなかったから

そして彼らは驚くほど従順だ



そんな飼われた無知な愚民たちと紛れた秘密警察が、

昨夜、平和デモを遂行しようとしている反ムバラク派へ攻撃を始めた



最初は人と人の揉み合いだったけれど

次第に銃声や爆発音が響き、煙がモクモクとあがった



くどいけど反ムバラク派はあくまでも平和デモを目指す青年達が主。

武器を持つ理由も、入手ルートも無い



誰が武器を持ち込んだ?



武器を使ったのはムバラク支持派

でも1日10〜100円ほどの食費も払えない貧困層が、

どうやってそれを手に入れたのか



混乱した映像を世界に流し、

国の混乱、支持派の存在、そしてデモの終結を訴えるシナリオをムバラクは実行した



ムバラク支持派が攻撃したもの



◆反ムバラク派 女性・子供含む

(反ムバラク派は平和的解決を訴えたくて、人の輪に小さな子供も加えていた)

◆カイロ美術館(これも反ムバラク派が人の輪で守っていた)

◆事実を伝えようとする海外ジャーナリスト



私の友人は、一緒にいたアメリカ人と共に突然襲い掛かられ、

服を切り裂かれ、靴を奪われ、

カバンを切り裂かれ、携帯以外の何もかもを奪われて帰ってきた

IDもバンクカードも仕事に必要なライセンスも全て奪われた

昨日は平和に前進する一日のはずだった



初日のデモで銃撃された足の銃弾も、まだ全部取れきっていない

他の友人たちもみんな負傷してしまったと言っていた



この数日間、国を良くして行こうと心に訴え繋がりを強化してきた軍は

誰も彼らに救いの手を伸べなかった





###

電話の途中、更にフランスから友人が加わった

フランスのテレビ局で働く友達に即連絡して

彼に事実を電話で話してもらうアポを取った



昨日から、数日振りにエジプトのネット回線が開通している

ムバラクがデモ参加者達を家に帰らせ解散させるための

安易で無知な作戦と言われてるけど、そのとおりだと思う



今、数日間隠蔽されていた事実が続々とエジプトの外へ流れ出してる

この事実を叫ぶ声が、各地の心ある人々へ届くことを祈ります

くたばれムバラク



とにかく生きていてほしい

後にも先にも重要なことはこれしかないけれど、

生き延びたとして、ムバラク政権の下に戻るなんて事は

死ね って言ってるようなものだ



生きていればまた次があるから なんて

どんな顔して言えるんだろう



3人で冗談を言い合いながら笑って時間を過ごしていたけれど

生きてさえくれればいい

と声を掛けるのすら、内心むなしかった



罪のないただ自由と平和を求める民衆が罠にはまって死んでいく

こんな独裁者が脚色した見世物をただ眺めているだけの世界は悲しい



命よりも 生きた犠牲者よりも 利益を優先する世界は悲しい

複雑に絡み合った汚れた問題に対して 熟考し支援できる力を持った

世界であってほしいと思う



パリの別の友人からもメッセージが届いた

エジプトでの愛すべき時間を共有した掛け替えのない友だ



「今エジプトで起こっているのはすばらしいことだ

僕達はカイロに行かなければいけない

もし僕らの友人が僕らの助けを必要としているのなら」



相変わらず、私達は深刻な事も笑い話にする程ふざけてたけど、

本気でこの言葉を言って、本気でそうしようと思える

そんな仲間でよかったと思う


90955