今、パリ在住が5年になろうとしている。
そろそろ、ベルリンを行ったり来たりしていた時代の滞在よりも長くなるところだ。
昔のベルリンの事を思い出すと、あのような街はもうこの西側諸国の世界では二度と現れないのでは?と思う。
ふと、あの頃のベルリンは実は戦後日本の焼け野原だった頃に似ていたのかなとも思う。
前回話を書いたように、東西統一直後は、いろんな事が自由だった。空き地はたくさんあるし、空きビルもたくさんある。
首都なのに地上げも始まっていなく、家賃も安い。
大元の東西統一が忙しく、細かい取り締まりはまだ先延ばし状態だったので、税金や申請などをせずに自由な商業活動を皆思い思いにしていた。(壁崩壊前は、旧西ベルリンは特別経済地区として税金なども低かった名残りもある)
特にパーティー文化が花開いていた時代。
で、システム管理が行き届いていなかった新しい首都ベルリン。今のパリや東京とは全く正反対だ。
多分、これを読む人は、こんなのは脱税だし、違反だからおかしいと思う人もいるだろう。
そう、それに目をつぶっていた時代があった。
戦後の焼け野原の時代の日本だって、いろんな取り締まりが現在よりも行き届いていなく、闇市があったりして、思いついたものを
次の日には商売にするという、生きるというエネルギーが溢れていたのではと思う。
もともとドイツ人自体が、個人主義の文化で、群れの中の役割を果たさなければ、居場所がないという
感覚はない。お互いにやりたい事をする代わりに、相手のやりたい事を尊重する文化が根底にあるのも手伝って、
そいいう思い思いのことをする風潮は、全体的に認められている。
それは今のベルリンにも存在する。
が、今のベルリンと昔のベルリンが違うのは、そのシステム管理下に入っていたか、そうでなかったかだ。
私はその当時、まだ日本からのコモンセンスを引きずっていたので、かなりの戸惑いがあったが。
自由に生きるということは、実は自由の中で生きるための訓練がいる。。。。。。
日本の戦後の焼け野原とベルリンが違っていたのは、食べることと住むことは保障された状態だった。今でもそうだが、ドイツにはベーシックインカムのようなものが存在している。
一律600ユーロ前後の国からの保証。まあ生活保護のようなものだけど、誰でも正式な永住権を持つ市民であれば、外国人でももらえる。
そしてその上で、サイドインカムを自分の好きで得意な分野で得ている人がたくさんいた。
(私はこのベーシックインカムはあまり賛成ではない、というのも
怠慢な人はどこまでも怠慢になって行き身を崩してしまう人を何人も見た。)
マーケットでものを売り買いしたって税金は取られないし、自分で申請しなければ、誰もわからない。(これは現在もそう)
空き地や空きアパートで映画上映会やパーティーや各種イベントを自分たちで考えてして、食べ物やアルコールの販売をしたり。(これはもうできない)
面白い具体的な例えを書くと、
現在は、超有名ダンサーとなった日本人女性とドイツ人男性カップルなんかは。。。
そのベーシックインカムをもらった上で、クサを販売し、いろんな廃棄物をリサイクルして再リメイクしてインテリアなどにして販売していたり、ステージなどに使う照明器具なんかを修理して、大道具の照明さんとして働いていた。
そのアトリエに行ったことがあるのだけど、ものすごい広い空き地(現在は存在しない)にたくさんの倉庫があり、その一つを借りて、一角をアトリエに、そしてリサイクルの粗大ゴミに近いあらゆるものが保存してある物置があり、奥をクサの販売所としていた。
そしてその奥さんとの間に子供がいたが、その旦那さんは子供の面倒をよくみており、日本人女性の奥さんはダンサーとしてかなり集中して作品作りをして、もちろん自分たちでアート&ダンスの企画をしていた。
それでその女性はその後着実にダンサー兼クリエーターとしての名をあげ世界的に成功する。彼女こそ、あの時代のベルリンが生んだダンサーだと私は思う。
まあこれはかなり極端な話だけど、
そんな世界でも、秩序があり、平和で、自由があり、思い思いの経済活動をし、個人の思い思いの活動が花開いていた時代だった。
よく考えて欲しいのは、まあクサの販売はどうかと思うが、
違法というのはなんなのかということだ。
政治家が市民のお金を自由に、いくらでも税金を湯水のごとく使ってもそれは合法。
超大企業がいろんなあの手この手を使って、税金を払っていないというのは最近有名な話だが、それも合法。
憲法では人権が保障はされているが、法律上では、政治の世界や今の国家では人権は保障されていないと思う。
その当時のベルリンは、決められた管理の下にすっぽり入って大人しくしていなきゃいけないという世界とは異なっていたということ。
今の教育の世界は独立して生きていく生き方を教えてはくれない。システムの中でスムーズに生きていくのが、楽だと、人として当たり前と皆が信じ込まされていること。
自由に生きるのだって、自由に独立して生きる訓練が必要なんだよ。
昔のベルリンは、そんなことを教えてくれた。
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