ヨーロッパ〜日本往復日記

2001年から2003年まで二年の世界放浪の旅へ、それからどんどん価値観が変化していく様子をブログに書いています。

ベルリン生活様式7(アーティストの友人たち)

halloo2008-10-09


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ベルリンに住む私のアーティストやミュージシャン友人たちは、すごく質素な生活をして、もし私が同じ立場だったらと思うと
めちゃくちゃ不安に陥りそうな、生活をしている人も多い。

(日本に住むミュージシャン友達は皆、普通に仕事をしているが。)

”今”に対する無意識的な使い方。がやっぱり違う。

というか、全職業、出来る人って集中力と継続力が違うってことだよね。

特に、制作活動ってやっているうちに、好きな事だから、すごく集中していく、そうやって作品は出来ていく。


まあ流れがねどんどん集中する流れになっていくよ。



そうすると、多分、必然的に今が充実(苦しみももちろんあるが)していくので、

将来の自分に対する意識が普通の人と全然違う。


私のある30を超えた男友達は、ハッキリ私に「社会的地位なんてなんの意味も無いことなんだよ」って言った。
何年も何年もレストランで皿洗いをしていても、別に社会的に下の人間で辛いとか思わないんだよ。
社会的地位の欲求って男の人が本能的に持っていることって言われているけど、この人には当てはまらない。


ベルリンでは週にたった三日皿洗いをするだけで、自分の生活が出来て、作品作りに時間を割くことが出来る。

それが何より大切な事なんだって。






40歳ぐらいの友人が、仕事より、将来より、自分が絵を書くことを止めなきゃいけなくなるとが不安になるといった。
彼の絵は売れたことがほとんど無いらしい。でもね、彼の生活はほんと絵が中心で、毎日毎日描いている。
彼はアイリッシュなので、少し英語の教師として日銭を稼いでいるが、生活していけるだけも稼いでいない。
彼は外国人なので、国からの失業保険などももらっていない。
月の稼ぎは350ユーロほど。たまに、博物館の手伝いとか、外国の金持ちの家に壁画を描きに行くバイトとかを
して、短期集中でお金を稼ぐ。そしてまたベルリンに戻って、作品作りをする。
そんな彼の絵を私は全く???????で微塵も解からない。




私だって、やっぱり仕事を持っていないと不安になる。今超薄給で非常勤講師として仕事を続けていても、スキルは磨かれるし、講師の仕事は経験が命だとおもうから、続けていけるし、なんの不安も無い。
普通の人は将来のためにいろいろ勉強をしたり、スキルを磨いたり、保険に入ったりするでしょ。



でもアートってほんと無限の表現の方法があって、既存の概念を壊していかなきゃいけないから果てしない無限の世界なんだよ。自分で良いと思っても、それが認められるかも解からないし。

(それがどんどん既存にある作品に近づくに連れて、普通の人にわかりやすくなっていく。
そうするとアーティストというよりか、職人になっていくんじゃないのかな。)



そんなわけのわからない世界で生きていかなきゃいけないんだけど、そのわけのわからない世界って言うのは
自分の内なる世界と外の世界の繋がりだったり。



だから、自分・今 への集中力はすごいんだ。



(それで、だからこそ、漠然とした不安がど〜〜とやってくるのかも知れないが・・・・私の友達は作品を作るのを止めてしまうほうが
将来の事を考えるより不安だと言った)


コレって言うのは

実は仏教のとても大切な考えかた

今を感じて生きるって事なんだ〜〜って思ったよ。

お坊さんはそれを修行をして、瞑想をして、今、”まさに今”という世界を感じる。未来じゃなく過去じゃなく。


人生を生きるうえで、たぶんコレが一番大切な事なんじゃないかな。







   ”今を生きる”







だから、いくら不安で、将来がわからない世界でも、人間として生きていくのに

アーティストとして生きていくのは、理想的な人間の生き方の一つなのだと思った。






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